飲食店の86.6%が機械化に賛成しているのに、なんでタッチパネル注文はやめられないの? 2026年の現実
この記事のポイント
- 飲食店の利用者の86.6%が機械化に賛成しているのに、タッチパネル注文への批判は止まらない
- コロナをきっかけに急増した自動注文が続く、本当の理由を3つの視点で見ていく
目次
ファミレスに入ったら、テーブルに画面があった。席に着くなり「タッチして注文してください」と言われた——そんな経験、最近ますます増えてない?
- 日本の飲食店のDX(デジタル化)導入率は2024年時点で58.3%にのぼり、過去最高を記録している
- タッチパネル注文は2020年のコロナ禍をきっかけに一気に普及した
- 飲食店側の最大の理由は「人手不足」。2026年1〜5月の飲食業倒産は過去最多ペース
- 利用者の86.6%が飲食店の機械化に「賛成・どちらかといえば賛成」と答えている
- 一方で高齢者の困難やUIの使いにくさへの批判は2026年も続いている
コロナが変えた、ファミレスの「普通」
2010年代のファミレスは、手を挙げて「すみません」と呼ぶのが普通だった。店員が来て、ボールペンでメモを取る。あの光景は、今では少なくなっている。
転換点は2020年4月だった。全国に緊急事態宣言が出た。「人との接触を8割減らす」という目標のなか、飲食店も非接触の方法を急いで探した。タッチパネル注文は、その答えのひとつとして一気に広まった。
コロナ禍でマクドナルドがモバイルオーダーを本格導入すると、2020年5月の既存店売上は前年比15.2%増、客単価は45.3%増を記録した。注文の仕組みを変えただけで、これだけ数字が動いた。それはほかのチェーンにとっても「試す理由」になった。
コロナが落ち着いてからも、タッチパネルを外す店は少なかった。それには理由がある。次で見ていこう。
お店が「やめられない」3つの理由
飲食店の経営者がタッチパネルをやめたくない理由は、大きく3つある。
理由①: 人手不足が深刻すぎる
2026年1月から5月の飲食業の倒産件数は、過去最多のペースで続いている。原因のひとつは、働き手が集まらないことだ。タッチパネルが注文を受け付けてくれれば、「注文担当のスタッフ」1人分の業務をカバーできる。スズモの2025年調査によると、セルフオーダー導入で「人手不足解消に効果を感じた」経営者は50.0%に達した。
「お客が自分で注文できる状態」は、少ない人数でも回せるオペレーションに直結する。
理由②: ミスが減り、売り上げが上がる
口頭注文は聞き間違いが起きやすい。タッチパネルなら、お客が選んだ内容がそのままシステムに入る。オーダーミスが減り、厨房との連携もスムーズになる。さらに画面上で「こちらもいかがですか?」と表示することで、追加注文につながる可能性がある。
ホットペッパーグルメ外食総研の2024年調査では、デジタルツールの導入率は58.3%で過去最高を記録した。数字から見ても、広がりは止まっていない。
理由③: 外国語で対応できる
英語・中国語・韓国語で表示できるタッチパネルは、訪日外国人への対応手段でもある。働き手を増やさずに多言語対応できるのは、観光客が多いエリアの飲食店にとって手放せない機能だ。
3つの理由が重なれば、「やめる理由がない」という判断になる。でも、使う側の声は別だ。
操作がバラバラで、使いにくい
タッチパネル注文への不満は、SNSで定期的に広がる。批判の中心は2つある。
高齢者が置いていかれている
高齢者がタッチパネルの操作に戸惑い、店員に相談しようとしたら「タッチパネルでご注文ください」と繰り返されたというエピソードが、SNSで何度も話題になった。現代ビジネスの取材でも「慣れないタッチパネルを使いこなせない高齢者が少なくない」という実態が報告されている。
スマートフォンを日常的に使ってきた歴史がない世代にとって、タッチ操作の「当たり前」は当たり前ではない。
どこに何があるかわからない
ある記事では、魚料理を探したら「冷菜」「オードブル」「おすすめ」「魚料理」と4か所に似たような項目が散らばっていて、どこを選べばいいかわからなかったという例が紹介された(デイリー新潮)。
さらに、お店ごとにシステムが違う。テーブル端末で食後払いのファミレスもあれば、入口の端末で先払いの店もある。初めて入った店では「あれ、いつ会計するの?」と戸惑うことになる。
批判が高まれば、当然お店も動く。その実例が2026年にあった。
マクドナルドで起きた「使いにくい」論争
2026年5月、マクドナルドの店頭注文端末の使いにくさがXで話題になった。
「最初の画面に価格が表示されない」「ボタンの位置がページごとに変わる」「縦長の大画面で上下に視線を動かすのが疲れる」といった投稿が続き、ITmedia NEWSが記事として取り上げた。
日本マクドナルドの広報はこう応じた。「お客様の利便性向上を目指し、より使いやすくなるようシステムのアップデートを行っているところです」
「使える」と「使いやすい」は、別の話だ。タッチパネルが当たり前になった今、次の問いは「誰でも使いやすいか」になっている。よく出る疑問に答えていく。
よくある疑問に答えます
Q. タッチパネル注文って、もっと前からあったの?
タッチパネル注文のシステム自体は2000年代から存在していました。でも広く普及したのは2020年のコロナ禍がきっかけです。非接触ニーズが一気に高まり、導入スピードが加速しました。
Q. 店員さんはタッチパネルのせいで仕事がなくなってるの?
注文を受ける業務はタッチパネルに移りましたが、料理を運ぶ・テーブルを片付ける・清掃する作業は人間が行います。完全になくなるわけではありませんが、人数は減る傾向にあります。
Q. 高齢者対応として、どんな改善策があるの?
一部の店舗ではスタッフが操作をサポートする体制を取っています。また、文字サイズを大きくする設定や、操作ステップを少なくするシンプルモードを設けているケースもあります。
Q. 外国ではタッチパネル注文ってどんな状況なの?
マクドナルドやバーガーキングなどのファストフードチェーンは、欧米や東南アジアでも端末注文が普及しています。ただし、日本のように居酒屋やファミレスまで幅広く普及しているケースは珍しく、日本の効率重視の文化が影響しています。
Q. タッチパネルのコストはどのくらいかかるの?
一般的に1台あたり数万円〜数十万円のイニシャルコストと、月額数千円〜数万円程度のランニングコストがかかります。アルバイト1人分の月給と比べると、複数台でも数年でペイできる場合があります。
Q. これからもタッチパネルはもっと増えるの?
人手不足と人件費の上昇が続く限り、タッチパネル注文の普及は続く流れにあります。ただし、高齢化社会に対応するためのUI改善や、困っているお客さんへのサポート体制が同時に求められます。
「客が注文する」時代の、次のステップ
タッチパネル注文は「お店の仕事を客に移した」変化だ。「なんで自分が入力しないといけないの?」という感覚は正直な反応だと思う。
でも、人手不足という現実がある。飲食業の倒産が過去最多ペースで続き、働き手が集まらない状況のなかで、タッチパネルは「それでも店を続ける」ための手段だ。
ホットペッパーグルメ外食総研の2024年調査では、セルフオーダーで人手不足解消に効果を感じた経営者は50.0%。現場の半数が「これがないと回らない」と感じている。
改善が必要なのも確かだ。高齢者への配慮、操作の統一感、わかりやすいUI。2026年のマクドナルド論争が示したのは、「使える」が当たり前になった今、次の問いは「誰でも使いやすいか」だということ。
次にファミレスでタッチパネルを操作するとき、画面の向こうにある「人手不足」の現実が少し見えてくるかもしれない。
なぜ流行っているのか?
2026年9月13日、「タッチパネル注文」がYahoo!リアルタイム検索でランクイン。2026年の飲食業倒産件数が過去最多ペースで続くなか、人手不足解消のための機械化導入が加速している。一方で、高齢者への対応不備やUIの使いにくさへの批判が9月初旬のSNS議論で再び注目を集めた。マクドナルドの端末UI論争(2026年5月)をきっかけに、「使える」から「誰でも使いやすい」への要求が高まっており、飲食店のDXはコスト削減から利用体験の向上へとフェーズが移りつつある。
この記事の根拠
一次ソース 1件エビデンス 2件参考資料 2件
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飲食店のDX導入率58.3%はホットペッパーグルメ外食総研2024年3月調査(n=1,029)の数値。機械化賛成86.6%はスズモ2025年1月調査(n=400)。マクドナルドモバイルオーダー導入後の既存店売上15.2%増・客単価45.3%増は同社2020年5月データ。ITmedia NEWSのマクドナルド端末批判記事は2026年5月25日付。2026年1〜5月飲食業倒産が過去最多ペースという情報は複数ソースが指摘。セルフオーダーで人手不足解消に効果を感じた経営者50.0%はスズモ調査より。