レベル5氾濫特別警報とは?なぜ子吉川に出たのか、全国約400の川だけの新しい警報と越水の確認から読む

レベル5氾濫特別警報とは?なぜ子吉川に出たのか、全国約400の川だけの新しい警報と越水の確認から読む

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この記事のポイント

  • レベル5氾濫特別警報は、2026年5月29日に運用が始まった新しい警報です
  • 川の氾濫がすでに起きたか、起きている可能性が極めて高いときに出ます
  • 対象は国や県が洪水予報を出す全国約400の川に限られます
  • 子吉川は洪水予報の対象で、21日夜に左岸で越水による氾濫が確認されました
  • 子吉川では2024年7月にも氾濫が起き、堤防が決壊しています

2026年10月21日夜、秋田県由利本荘市の子吉川にレベル5氾濫特別警報が出ました。市内の矢島と笹子では、24時間の雨量が120ミリを超えました。5月に始まったばかりの新しい警報が、なぜこの川に出たのかが注目されています。

ニュースで急に聞くようになった「レベル5氾濫特別警報」。いったい何で、なぜ秋田の子吉川に出されたのでしょう?

10月21日夜、子吉川で何があった?

まずは、21日の夜に起きたことを時間の順に見ていきます。

秋田テレビや日本テレビの報道によると、最初の発表は午後7時45分でした。発表したのは秋田河川国道事務所と秋田地方気象台です。大雨で子吉川が氾濫しているおそれがある、という内容でした。

続いて午後8時15分、レベル5氾濫特別警報があらためて出されました。テレビ朝日系やTBSの報道では、由利本荘市森子の左岸付近で越水が確認されています。越水(つまり、川の水が堤防をこえてあふれること)による氾濫です。報道で発表時刻に2つの数字があるのは、この2回の発表があったためです。

雨は20日の夕方から降り始めていました。ウェザーニュースは、寒冷前線が近づいて雨が降り続いたと伝えています。21日午後7時までの24時間雨量は、矢島と笹子でともに120ミリをこえました。どちらも10月としては観測史上最大です。

由利本荘市は、市内の一部に警戒レベル5の「緊急安全確保」を出しました。午後8時33分の時点で、448世帯・1,204人が対象と報じられています。支流の石沢川でも氾濫の発生が伝えられました。

では、この「氾濫特別警報」は、これまでの警報と何が違うのでしょうか。

レベル5氾濫特別警報とは?

ひとことで言うと、川があふれたときに出る「いちばん上の警報」です。

気象庁と国土交通省は、2026年5月29日から新しい防災気象情報を始めました。川の氾濫、大雨、土砂災害、高潮の4つを、5段階の警戒レベルにそろえています。名前にもレベルの数字が入るようになりました。川の場合は、レベル2氾濫注意報から始まります。レベル3氾濫警報、レベル4氾濫危険警報と上がり、いちばん上がレベル5氾濫特別警報です。

気象庁の報道発表資料に、その基準が書かれています。「河川の氾濫がすでに発生または、発生している可能性が極めて高い」ときです。資料には「命の危険が迫っているため直ちに身の安全を確保」とも書かれています。

学校の避難訓練にたとえると、「もう火が出ています」という放送が流れた段階です。準備の時間はほとんど残っていません。

ここでひとつ疑問がわきます。どの川にも、この警報は出るのでしょうか。

なぜ子吉川に出たの?カギは「洪水予報河川」

答えは「出ない」です。ここが子吉川に出た理由の1つめのカギになります。

金沢地方気象台が6月にまとめた資料によると、川は3つのグループに分かれます。洪水予報河川は約400、水位周知河川は約1,800、その他の川は約18,000です。川ごとの「特別警報」が出るのは、このうち洪水予報河川だけです。

洪水予報河川は、河川事務所と気象台が一緒に水位を予測している川のことです。1級河川などの大きな川が中心です。子吉川はそのひとつです。子吉川の洪水予報は、秋田河川国道事務所と秋田地方気象台が共同で出しています。気象庁の災害時気象報告にも、その記録が残っています。

2つめのカギは、実際に氾濫が確認されたことです。先ほどの基準のとおり、この警報は「すでに氾濫した、またはほぼ確実」という段階で出ます。21日夜は、森子付近で越水が確認されました。大きな川であることと、実際にあふれたこと。この2つがそろったため、子吉川に特別警報が出たのです。

一方、石沢川については「レベル5氾濫発生情報」が出たと報じられています。同じ資料では、氾濫発生情報は洪水予報河川以外の一部の川でも使われると説明されています。洪水予報河川では、この情報が特別警報と一緒に出る仕組みです。

ではなぜ、川の特別警報は2026年まで無かったのでしょう。

2年前は「特別警報」ではなかった

実は子吉川は、2024年7月にも氾濫しています。

気象庁の記録では、2024年7月25日に子吉川へ「氾濫発生情報」が3回出ました。ウェザーニュースによると、このとき右岸では堤防決壊による氾濫も起きています。由利本荘市荒町では子吉川の堤防が、鮎瀬下では石沢川の堤防が決壊しました。決壊のあとは、一時的に別の基準水位を使う対応もとられました。

同じような氾濫だったのに、当時は「特別警報」という名前ではありませんでした。当時の氾濫発生情報は「警戒レベル5相当」の扱いだったからです。

気象庁の2026年版の白書は、その理由を説明しています。以前は川の氾濫を予測する技術が十分でなく、川の特別警報は運用していませんでした。最近は水位の観測や予測の技術が進み、運用ができるようになったといいます。

今年はほかの川でも出ています。6月3日には和歌山県の古座川、9月8日には愛知県と岐阜県を流れる庄内川に、この警報が出ました。新しい仕組みが、実際の大雨で何度も使われているのです。

最後は、21日夜の時点でわかっている今後の見通しを確認します。

雨がやんでも警戒が続くのはなぜ?

ポイントは、上流に降った雨が時間をかけて下ってくることです。

TBSの報道によると、流域(つまり、雨が子吉川に集まってくる範囲のこと)の平均雨量は、21日午前1時から午後7時50分までで116ミリでした。その後の3時間は1ミリほどの予想です。それでも、二十六木橋の観測所では22日午前1時ごろに氾濫危険水位に達する見込みと伝えられています。

テレビ朝日系の報道では、気象庁は雨がやんだあとも水位が上がり続けることがあると呼びかけました。夜の移動も危ないとしています。上流の雨は、遅れて下流に届くからです。

ここまでの話を整理すると、子吉川に出た理由は3つにまとまります。大きな川として洪水予報の対象だったこと。10月として記録的な雨で、実際に越水が起きたこと。そして5月から、こうした川に「特別警報」を出す仕組みができていたことです。

よくある質問

Q. レベル5氾濫特別警報と大雨特別警報はどう違うの?

氾濫特別警報は、大きな川があふれたときに川ごとに出ます。大雨特別警報は、低い土地の浸水や大きな川以外の氾濫を対象に、市町村ごとに出ます。どちらもレベル5で、命の危険が迫っている段階です。

Q. 石沢川にはなぜ「氾濫特別警報」ではない情報が出たの?

報道では、石沢川には「レベル5氾濫発生情報」が出たと伝えられています。川ごとの特別警報は、全国約400の洪水予報河川に限られます。氾濫発生情報は、それ以外のあらかじめ決められた川でも出る情報です。

Q. 前の「氾濫発生情報」から何が変わったの?

洪水予報河川では、氾濫発生情報がレベル5氾濫特別警報と一緒に出るようになりました。以前は「警戒レベル5相当」の情報でしたが、今は名前そのものに「レベル5」と「特別警報」が入ります。危険の大きさが名前だけで伝わるようにした変更です。

Q. レベル5が出たら、何をすればいいの?

気象庁の資料では、レベル5は「命の危険 直ちに安全確保!」の段階とされています。同じ資料には「警戒レベル4までに危険な場所から必ず避難」とも書かれています。具体的な行動は、住んでいる市町村が出す避難情報で確認します。

Q. 子吉川は前にも氾濫したことがあるの?

あります。2024年7月25日に氾濫発生情報が3回出て、右岸では堤防決壊による氾濫も起きました。このときは新しい仕組みの前だったので、特別警報ではありませんでした。

Q. これから子吉川の水位はどうなるの?

21日夜の報道では、二十六木橋の観測所で22日午前1時ごろに氾濫危険水位に達する見込みとされています。雨が弱まっても、上流の水が遅れて届くためです。最新の状況は気象庁や秋田河川国道事務所の発表で確認できます。

なぜ流行っているのか?

「レベル5氾濫特別警報」が一気に検索されたのは、名前そのものが新しいからです。2026年5月29日に始まった新しい防災気象情報で、川の氾濫に「特別警報」が付くようになりました。今年は6月の古座川、9月の庄内川に続いて出ましたが、多くの人にとってはまだ聞き慣れない言葉です。そこへ10月21日夜、秋田県の子吉川で越水が確認され、テレビ各局が速報で伝えました。発表時刻が報道で2つあったことや、支流の石沢川には別の名前の情報が出たことも、「何が違うの?」という疑問を呼びました。子吉川は2024年7月にも氾濫しており、地元では2年ぶりの大きな出水になったことも関心を集めた理由と考えられます。

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この記事の根拠

一次ソース 7件エビデンス 7件

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子吉川へのレベル5氾濫特別警報は、NHK・TBS・テレビ朝日系・日本テレビ・秋田テレビ・ウェザーニュースの報道で確認しました。発表時刻は、午後7時45分(氾濫のおそれ)と午後8時15分(越水による氾濫の確認)の2回の発表があったものとして整理しています。制度の内容は気象庁の特設ページ・白書・報道発表資料(古座川・庄内川)と金沢地方気象台の説明資料で、2024年7月の氾濫は気象庁の災害時気象報告で確認しました。21日夜の発表そのものを伝える公式ページは、記事作成時点で見つけられませんでした。被害の詳細は記事作成時点で報じられていないため書いていません。

出典・参考リンク