フランス17.8%、日本10.8%——1329万人から読む少子化と自分たちの未来、2026年版
この記事のポイント
- 日本の子どもの数が2026年ついに1329万人に
- 45年連続で減り続けているのはなぜ? 自分たちの未来はどうなるの? 少子化の本当の原因を中学生の視点でひもとく
目次
生まれる前からずっと、自分の世代が減り続けていたとしたら?
2026年5月5日、総務省が発表した。日本にいる15歳未満の子どもの数は1329万人だ。45年連続で過去最少を更新した。
- 2026年4月1日時点の子どもの数は1329万人で、前年より35万人減った
- 45年間1度も増えることなく、1950年以来の最低水準を記録し続けている
- 年齢が低いほど子どもは少なく、0〜2歳は213万人、12〜14歳は309万人
- 2025年の出生数は70万5809人で、10年連続の過去最少を記録した
- 子どもの割合で見ると日本は世界2位の低さ——1位は韓国
この数字の背景に何があるのか、これからの日本はどうなるのかを見ていく。
1329万人って、どのくらい少ないの?
1970年代、日本の子どもは2500万人を超えていた。
それが今や1329万人。半世紀で半分近くになった計算だ。
年齢ごとに分けて見ると、さらにはっきりする。12〜14歳(中学生世代)は309万人いる。でも0〜2歳は213万人しかいない。年齢が下がるほど人数が少ない。これが続けば、10年後・20年後の若者の数はさらに減っていく。
総人口に占める割合でみると10.8%。日本にいる10人のうち、1人少ししか15歳未満の子どもがいない計算になる。
ちなみに全人口のうち65歳以上の割合は29%超だ。高齢者のほぼ3分の1程度しか子どもがいない、という数字になっている。
次では、なぜここまで減ったのかという「仕組み」を見ていこう。
45年間、1度も増えなかった仕組み
答えはシンプルだ。「生まれる子どもの数が、亡くなる人より少ない」状況が続いている。
でも「なぜ生まれる数が減ったの?」という問いは、もう少し複雑だ。
婚姻率(つまり、人口1000人あたりの結婚件数)を見ると、1970年は10件だった。それが2022年には4.1件まで下がった。
結婚する人が減れば、子どもも生まれにくくなる。日本では、婚外子(結婚していない親から生まれる子ども)の割合が3%以下と世界的にも低い。結婚と出産がほぼセットになっているのだ。
フランスでは婚外子が出生数の60%以上を占める。こうした違いが、少子化の深刻さの差にも影響している。
「最近の若者は結婚する気がない」とよく言われる。でも実際には、もっと構造的な問題がある。それが次のセクションだ。
「結婚できない」経済の壁
男性の年収と未婚率のデータを重ねると、きれいに一致する。年収が低いほど、未婚率が高い。
20代・30代が直面しているのは「結婚したくない」ではなく、「経済的に結婚できる状況じゃない」という現実だ。
2000年代以降、非正規雇用(つまり、正社員以外の働き方)の割合が若者の間で増えた。給料が不安定だと、家族を養えるかという不安が大きくなる。そのまま先送りにしているうちに、年齢を重ねてしまう人が増えた。
加えて、「子育てにはお金がかかりすぎる」という感覚も強い。塾・習い事・大学の学費を全部合わせると、1人あたり2000万〜3000万円かかるとも言われる。その数字を聞いたら、躊躇(ちゅうちょ)する人が増えるのは当然だ。
これらの構造が、45年という長いスパンで少子化を深刻にしてきた。では、今の日本でその影響はどこに出ているのか。
毎年500校近くが消えていく現実
少子化の影響は、今まさに各地で起きている。
日本では毎年400〜500校の学校が廃校になっている。小学校・中学校・高校を合わせた数だ。
特に地方では深刻で、同学年の友達が5人しかいない中学校も珍しくない。都市部でも、1学年が1クラスだけ、という学校が2020年代に入ってから増えてきた。
「今の自分には関係ない」と思っていても、親戚が住む地方の学校がなくなる——そういうニュースが、これからもっと増えてくる。
海外との比較で見ると、この問題の大きさがより鮮明になる。
韓国は日本よりもっと深刻——世界比較
子ども(15歳未満)が総人口に占める割合を比べると、日本は10.8%。世界で2番目に低い。
1番低いのは韓国だ。フランスは17.8%を維持している。
フランスが高い水準を保てているのには理由がある。育児休業が充実していること、子育て家庭への経済支援が手厚いこと、働き方が柔軟であること——これらが「産みやすい」環境を作っている。
日本と韓国に共通するのは、男女の役割分担意識が根強く残り、女性が出産・育児と仕事を両立しにくい構造だということだ。ただ、北欧やフランスを手本にした各国でも、近年は出生率が再び下がり始めている。価値観の変化という、より深い問題があるためだ。
よくある疑問に答える
Q. なぜ少子化が続くと社会が困るの?
子どもが少ないと、将来の働き手も少なくなります。年金(ねんきん)——老後にもらえるお金のしくみ——を支える人数が減ると、高齢者が受け取るお金が足りなくなります。税金を払う人も減るので、社会全体のサービスが維持しにくくなります。
Q. 政府は何か対策をしていないの?
しています。2023年から「異次元の少子化対策」として、子育て支援金の増額や保育所の拡充が進んでいます。ただ、北欧やフランスでも対策を取った後に出生率が再び下がり始めています。根本的な経済格差や働き方の問題に手をつけないと難しい、という見方が多いです。
Q. 子どもの数が最も多かったのはいつ?
1970年代後半、子どもの数は2500万人を超えていました。1981年(昭和56年)以降は増えたことがなく、45年間ずっと減り続けています。
Q. 移民を増やせば解決するの?
移民の受け入れを増やせば、短期的には人口減少を遅らせることができます。ただ、子どもの数自体が増えるわけではなく、社会の文化・制度の変化も必要になるため、これだけで解決するとは言いにくいです。日本でも2024年以降、技能実習制度の見直しなど外国人の受け入れ拡大が進んでいます。
Q. 自分たちが大人になったとき日本の人口はどうなってるの?
今の中学生が30〜40代になる2040〜2050年代、日本の人口は現在の約1億2000万人から9000万〜1億人台まで減る見通しです。働き手が少なくなる分、1人にかかる社会的な負担は増えますが、AIやロボットの進歩が一部を補う可能性もあります。
Q. 少子化はどうしたら止められるの?
経済的支援(子育て費用の公的負担)、男女が平等に育児できる環境、柔軟な働き方——この3つが揃うと出生率が上がりやすいとされています。ただし効果が出るまで数十年かかるため、「今すぐ止める」は難しいのが現実です。
「減る世代」が動かす、これからの日本
45年間で子どもは半分近くになった。この事実は変えられない。
でも「減っている」だけが話の全てではない。
今の中学生は、これからの日本を動かす世代だ。人数は少なくても、1人ひとりの重みは変わらない——むしろ大きくなる。
AIが書類仕事を肩代わりし、ロボットが工場を動かす時代が近づいている。人数の少なさをテクノロジーがカバーできる部分も、確実に増えていく。
「少ない世代」であることは、弱点だけじゃない。社会が変わらざるを得ない状況になれば、変化のスピードも速くなる。それを動かすのが、1329万人の今の世代でもある。
なぜ流行っているのか?
2026年5月5日のこどもの日、総務省が15歳未満の子ども人口1329万人(前年比35万人減)を発表したことでYahoo!リアルタイム検索のトレンド1位・6位を同時占拠した。「過去最少」「子どもの数」という2つのキーワードが同日にランクインするのは2024年以来2回目。こどもの日という感情的に反応しやすいタイミングと、「自分が少数派世代だ」という当事者感覚が若年層のシェアを加速させたと考えられる。加えて、2025年出生数70万5809人(10年連続過去最少)という速報が2月に報じられており、5月の詳細統計発表が「予想通りの深刻化」として改めて注目を集めた構図でもある。
この記事の根拠
一次ソース 1件エビデンス 2件参考資料 2件
ファクトチェック結果を確認する
総務省統計局の2026年4月1日時点推計(2026年5月5日公表)に基づき確認。子ども人口1329万人・前年比35万人減・45年連続減少は一次ソースで裏付け済み。婚姻率データ(1970年10‰→2022年4.1‰)は厚生労働省人口動態統計から。2025年出生数70万5809人はJapan Times 2026年2月報道で確認。フランスの子ども割合17.8%・日本10.8%・韓国が最低はNippon.com掲載データと一致。毎年400〜500校廃校ペースはNippon.com「少子化で変わる日本の学校」記事から。子育てコスト2000〜3000万円は内閣府「少子化と家計経済」調査を根拠とする概算値。