「高市打倒、式典粉砕!」と叫んだ中核派は何者? 被爆81周年の広島平和記念式典で今年も抗議デモが起きた理由

「高市打倒、式典粉砕!」と叫んだ中核派は何者? 被爆81周年の広島平和記念式典で今年も抗議デモが起きた理由

10-20代向け
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この記事のポイント

  • 被爆から81年
  • 2026年8月5日夜、数百人が「高市打倒!式典粉砕!」と広島市内をデモ行進した
  • 中核派とはどんな組織で、なぜ平和式典に反対するのかを中学生向けにひもとく

今日、広島で「式典粉砕!」という声が上がった。平和記念式典の前夜なのに、なぜ?

今日起きたことを4行で整理すると

  • 中核派(1957年設立の急進的左翼組織)は広島平和記念式典を「中国への侵略戦争のための式典」と批判している
  • 2026年8月5日夕方、数百人が「高市打倒!式典粉砕!」と叫びながら広島市内をデモ行進した
  • 2023年に式典前後で市職員への暴行事件が起き、5人が有罪に。警備費はその後9倍に膨らんだ
  • 今年の式典には過去最多となる123カ国・地域と欧州連合(EU)代表部が参列する見通しだ

8月6日の広島——81年前、そこで何が起きたのか

1945年8月6日の朝、広島市は普通の月曜日だった。でも午前8時15分、米軍のB-29爆撃機から1発の爆弾が落とされた。これが人類史上はじめて戦争で使われた原子爆弾だ。爆発の中心温度は太陽の表面と同程度の3,000〜4,000度にも達した。半径2キロ以内の建物はほぼすべてが倒壊し、1945年末までに約14万人が命を落とした。

犠牲者のなかには即死だけでなく、放射線の影響で亡くなった人も多い。生き残った被爆者(ひばくしゃ、原爆の被害を受けた人たちのこと)も、その後の白血病やがんのリスクが高い状態が長年続いた。被爆から81年がたった2026年、体験を語れる人たちの多くが高齢になっている。

毎年8月6日、広島市は「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」——通称・平和記念式典を開き続けている。希望の鐘が鳴り響き、市長が平和宣言を読み上げる。81年という時間をかけても、あの朝を忘れないための場だ。では、その場所でなぜ毎年抗議の声が上がるのか。次は抗議する人たちの話をしよう。

中核派とは何者? 1957年に生まれた左翼組織

「中核派」という名前を耳にしたことがあるかもしれない。正式名称は「革命的共産主義者同盟全国委員会(かくめいてききょうさんしゅぎしゃどうめいぜんこくいいんかい)」という。難しく聞こえるけど、簡単に言うと「社会の仕組みを根本から変えることを目指している急進的なグループ」のことだ。

1957年に設立されたこの組織は、1960〜70年代の学生運動(全共闘運動(ぜんきょうとうんどう)= 大学生たちが政府や大学の権威に反対した大規模な運動のこと)の時代に大きく注目された。トロツキー主義(とろつきーしゅぎ)——ソビエト型の国家主導社会主義を批判し、継続的な世界革命を目指す考え方——を掲げている。教室に例えると、「ルールを守りながら改善を求める」のではなく「ルールそのものをなくして作り直そう」と本気で主張している立場に近い。

現在も日本に組織として存在し、機関紙の発行や各地でのデモ活動を続けている。白いヘルメット姿で行進するのが、見た目の特徴だ。では彼らは、なぜ「平和式典」を「粉砕」しようとするのか。

なぜ「平和式典」に反対するの? 彼らの論理

「平和式典を粉砕する」——一見、矛盾しているように思えるよね。でも彼らの言い分はこうだ。

「日本政府は式典で毎年核廃絶を訴える。でも実際には、アメリカの『核の傘』(かくのかさ、つまり米国の核兵器で日本を守ってもらうという安全保障の仕組みのこと)に頼り続けている。だから本気で核兵器をなくそうとは思っていない。式典は、戦争に向かう政策を正当化するための儀式だ」——という批判だ。

2026年のスローガンは「8.6戦争式典粉砕」「高市打倒!」。現政権が推し進める防衛費の増額や日米安保の強化を「新たな侵略戦争への準備」と見ているわけだ。8月5日の夕方、広島市中区の平和記念公園前に数百人が集まり、白いヘルメット姿で市内中心部をデモ行進した。「高市打倒!式典粉砕!」という声が、街に響いた。

ただし、こうした活動はトラブルも引き起こす。2023年の集会では、中核派メンバー5人が式典の警備に当たる市職員に集団暴行し、全員が有罪判決を受けた。この事件のあと、広島市が警備業者へ支払う費用はそれまでの9倍に膨らんだ。そのお金は市民の税金から出ている。

2026年の今年、全学連(ぜんがくれん、全国学生自治会総連合のこと)は8月6日の午前0時から座り込みを開始する予定だ。市は午前5時以降の公園内立ち入りを規制すると発表している。式典そのものは、どんな形で行われるのか。次に見てみよう。

今年の式典——過去最多123カ国が参列した意味

広島市が主催する平和記念式典のほうは、2026年は特別な数字を打ち立てた。参列する国・地域の数が過去最多となる123カ国と欧州連合(EU)代表部に達したのだ。これは被爆81年という節目への注目だけでなく、ロシアのウクライナ侵攻が続く中で「核兵器の問題がいまも現実だ」という危機感が世界で高まっているあらわれでもある。

ただし中国とロシアは参列しなかった。台湾は日本政府が国家承認していないにもかかわらず2年連続で参列。アメリカは大使ではなく首席公使が出席する形にとどまった。

松井一実広島市長は平和宣言で「大国の横暴な振る舞いが繰り返されている」と現状に強い危機感を示した。核兵器禁止条約の再検討会議(2026年11月予定)へ、日本政府がオブザーバーとして参加するよう強く求めた。式典が「過去を悼む場」から「現在の核政策を問い直す場」へと変わりつつある。

「式典粉砕」についてよくある疑問

Q. 「式典粉砕」のスローガンは違法じゃないの?

スローガン自体は言論・表現の自由として認められている。届出をすれば日本ではデモ行進も合法だ。ただし2023年のように市職員への暴行があれば、そちらは傷害罪になる。実際に5人が有罪判決を受けた。「言葉での抗議」と「暴力行為」は、法律上まったく別物として扱われる。

Q. 中核派は今も活動しているの?

今も存在している。機関紙を発行し、全学連(学生組織)と連携して各地でデモや集会を続けている。党員数は数百人規模とされているが、公式な数字は公表されていない。広島の8月6日前夜集会は、彼らにとって年間でもっとも重要な活動のひとつだ。

Q. 中国とロシアが式典に参加しないのはなぜ?

それぞれ理由が異なる。ロシアはウクライナ侵攻への国際的な批判を受けて参加しにくい立場になっている。中国は近年の日中関係の悪化と、式典が政治的に利用されているという懸念から距離を置いてきた。どちらも核兵器保有国であることも、背景のひとつとして指摘される。

Q. 今も核兵器を持っている国はあるの?

ある。2026年現在、核兵器を保有しているとされるのはアメリカ・ロシア・中国・フランス・イギリス・インド・パキスタン・北朝鮮・イスラエルの9カ国だ。世界全体で約1万2,000発以上が存在するとされていて(ストックホルム国際平和研究所のデータより)、広島で使われた1発と比べて想像を超えた規模だ。

Q. デモをした人たちは捕まらないの?

デモ自体は合法なので捕まらない。ただし暴力をふるったり、許可なく公園内に立ち入ったりすれば話が変わる。2023年はまさにそのケースで逮捕者が出た。2026年は市が午前5時以降の公園立ち入りを規制しており、これを破れば不法侵入になる。

Q. 中学生が原爆のことを学ぶのはなぜ?

日本では「核兵器の惨禍を二度と繰り返さない」という誓いが、国の方針にもなっているからだ。体験を直接語れる被爆者の数は年々減っている。だから学校教育で伝え続けることが記憶をつないでいく重要な手段で、中学校の社会科・歴史の授業で必ず扱われる。授業で学ぶことで「これは遠い昔の話ではない」と気づくきっかけになる。

「式典粉砕」の声が教えてくれること

「式典粉砕」と叫ぶ人も、式典で手を合わせて祈る人も、根っこには「戦争はいや、核兵器はいらない」という気持ちがある。でも、その気持ちの向け方がまるで違う。どちらが正しいかよりも「なぜこんな声が上がっているのか」を知ることが、今日の広島を理解する第一歩になる。

被爆から81年。世界にはいまも約1万2,000発の核兵器が存在している。あの8月6日の朝は、まだ終わっていない問題だ。

なぜ流行っているのか?

「式典粉砕」がYahoo!リアルタイム検索でトレンド入りしたのは、2026年8月5日夕方に中核派が広島平和記念公園前でデモ行進を行ったためだ。翌6日が被爆81周年の原爆の日であることから、例年この時期に注目が集まる。2023年に暴行事件が起き警備が強化されたことや、「高市打倒!式典粉砕!」というスローガンの過激さがXでの拡散に影響したと見られる。日本の防衛費増額・安保三文書改定への批判が強まる中、式典の「政治的利用」論争が再燃していることが社会的背景にある。被爆81年の節目も相まって、被爆体験の継承と現在の核抑止政策との矛盾に関する議論がSNSで活発化している。

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この記事の根拠

一次ソース 2件エビデンス 1件参考資料 2件

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2026年8月5日に中核派が広島市内でデモ行進を行ったことは産経新聞の報道で確認済み。参列国数「過去最多123カ国・地域+EU」は広島市公式サイトおよび時事通信の報道で確認。中核派の設立年(1957年)はコトバンク・Weblio辞書で確認。2023年暴行事件での5人有罪判決・警備費9倍増加は産経新聞報道で確認。核兵器保有国9カ国・約1万2,000発はストックホルム国際平和研究所(SIPRI)データに基づく。高市首相参列は時事通信報道で確認。

出典・参考リンク