なぜ長崎は被爆から81年たった今でも、毎年8月9日に式典を続けるの?世界98か国と1万2千発の核の現実
この記事のポイント
- なぜ長崎は被爆から81年たった今も毎年8月9日に式典を開くの?2026年、鈴木史朗市長が世界98か国に発した「核と人類は共存できない」という宣言と、9万人の被爆者が今伝えること
目次
なぜ81年もたった今でも、毎年8月9日に式典をやるの?
被爆者の数が初めて10万人を下回った今年、長崎市の平和公園で式典が開かれました。
- 2026年8月9日、長崎で被爆81周年の式典が開かれ、過去最多の98か国が参加した
- 市長が「人類と核兵器は決して共存できない」と宣言した。世界に1万2,000発以上の核弾頭がある現実を訴えた
- 被爆者は全国に9万1,105人(平均年齢86.66歳)で、今年初めて10万人を下回った
- この1年で2,773人が亡くなり、「証言を直接聞ける時間」が急速に失われつつある
- 日本は核兵器禁止条約に未参加で、2026年11月の再検討会議への参加を市長が要求した
81年前の今日、長崎に何が落ちたの?
1945年8月9日の午前11時2分のことです。長崎市の上空で原子爆弾が爆発しました。
その年の12月末までに、およそ7万3,000人が亡くなりました。爆発の熱線・爆風・放射線が一瞬で町を変えてしまいました。その後も後遺症や病気で亡くなった方が続きました。長崎市が確認した累計死者数は今、20万4,708人に達しています。
では、なぜ81年もたった今でも、毎年式典をやるのでしょうか。今年の式典の内容から考えてみます。
2026年の式典で世界98か国が集まった
今年の式典は、参加規模が過去最多でした。98か国の代表とEUが長崎に集まりました。日本の高市早苗首相も参列しました。
鈴木史朗・長崎市長が「平和宣言」を読み上げました。宣言の中で何度も使ったフレーズがあります。「人類と核兵器は決して共存できない」という言葉です。
宣言では、故・吉田勝二さんという被爆者の証言も引用されました。「15万もの人々が死傷した」という記述です。81年前の記憶が今の式典に直接つながっていました。
被爆者の現状を見ると、宣言の重みがさらに伝わってきます。
被爆者は今、9万1,105人——でも毎年2,800人ずつ減ってる
2026年3月末時点で、被爆者として登録されている人は全国に9万1,105人います。
今年、初めて10万人を下回りました。平均年齢は86.66歳です。この1年だけで2,773人が亡くなりました。
1クラス約30人の学校に換算すると、毎年90クラス分以上の被爆者が亡くなっている計算です。
2024年、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞しました。被爆者の証言が国際社会で最高レベルの評価を受けた瞬間でした。その2年後の今年、被爆者数が10万人を割りました。この変化が、式典を続ける意味に直結しています。
81年たった今も続ける理由は、「継承」と「現在進行形」
式典を毎年続ける理由は大きく2つあります。
1つ目は「継承」です。式典があることで、毎年8月9日に世界のメディアが核兵器について報じます。鈴木市長が宣言を読み上げることで、被爆者の声は98か国の代表に届きます。
2つ目は、核兵器が「今も続く問題」だからです。81年前の話で終わっていません。
今の世界には1万2,000発以上の核弾頭があります。核軍縮を話し合うNPT(核拡散防止条約)の再検討会議は、直近3回連続で最終文書を採択できませんでした。
長崎市は先日、平和宣言を書く起草委員会の会議録を永久保存する方針を決めました。体験した人がいなくなった後にどう伝えるか、という問いへの答えの一つです。では、日本政府に向けた宣言の要求とは何でしょうか。
「核兵器禁止条約」に日本が入っていない話
2026年11月、日本で「核兵器禁止条約の再検討会議」が開かれる予定です。
今年の平和宣言で、鈴木市長は日本政府にこの会議への参加を求めました。
核兵器禁止条約(TPNW)は、核兵器の開発・保有・使用などをすべて禁じた条約です。2021年に発効しました。70か国以上が批准しています。でも日本はこの条約に署名していません。
理由は「核抑止論」です。「こちらも核を持っているから、相手も使えない」という考え方のことです。日本はアメリカの核抑止力に守られているとされています。
「核抑止論は極めて危うい」——鈴木市長は宣言でそう述べました。「戦争の極限状態で、誰もボタンを押さないと断言できるか」という問いかけです。
唯一の戦争被爆国として、核の傘の下にいる。この矛盾は、長崎が毎年8月9日に問い続けているテーマです。
気になる疑問をQ&Aで答えるよ
Q. 広島と長崎で、両方式典があるの?
はい、2つあります。広島は8月6日、長崎は8月9日です。広島にはウラン型の原子爆弾が、長崎にはプルトニウム型が落とされました。被爆地が2か所あるため、式典もそれぞれの日に行われます。それぞれの市長が独立して平和宣言を発表します。
Q. 平和宣言って毎年内容が変わるの?
毎年変わります。長崎市長のもとに「起草委員会」が設置されています。有識者・市民・被爆者代表が議論して内容を作ります。その年の世界情勢が反映されます。今年は核抑止論の否定と、11月の条約会議への参加要求が中心でした。
Q. 被爆者の証言はどうやって次の世代に伝えるの?
映像・音声・文章での記録が続けられています。長崎市は起草委員会の会議録を永久保存することを今年決めました。中学生・高校生が被爆者から直接話を聞く「平和学習」も続けられています。
Q. 核兵器禁止条約は何か国が参加してるの?
2026年現在、70か国以上が批准しています。ただし、アメリカ・ロシア・中国などの核保有国はすべて不参加です。日本・韓国・NATO加盟国なども参加していません。
Q. 長崎の式典に中学生でも参加できるの?
長崎市民であれば式典の一部に参加できます。長崎市在住・在学の中学生が「平和大使」として活動する機会もあります。遠方にいる場合はNHKなどで式典の様子が生中継されます。
Q. 核兵器って今、世界に何発あるの?
2026年時点で、世界には1万2,000発以上の核弾頭が存在します。アメリカとロシアが大半を持っています。核軍縮を話し合うNPT再検討会議は、直近3回連続で最終文書を採択できませんでした。
「核と人類は共存できない」を81年後も届け続ける理由
今日8月9日、長崎は81年前の朝を忘れない式典を開きました。
被爆者は9万1,105人で、毎年2,800人近く亡くなっています。世界の核弾頭は1万2,000発以上あります。だから式典は続きます。
「人類と核兵器は決して共存できない」という言葉は、81年前の教訓であると同時に、今日の警告です。98か国の代表が耳を傾けたこの言葉は、来年の8月9日にもまた、長崎から届けられます。
なぜ流行っているのか?
長崎平和宣言がトレンド入りしたのは、2026年8月9日という日付そのものが理由です。81周年の原爆記念日という絶対的な時事性に加え、今年は被爆者数が初めて10万人を下回ったことが報じられ、「記憶の継承」への関心が高まっています。2024年のノーベル平和賞を日本被団協が受賞したことで、核兵器問題に対する若い世代の注目度が世界規模で高まったことも背景にあります。さらに、2026年11月に核兵器禁止条約の再検討会議が日本で開催される見込みであることが、「なぜ日本は条約に参加しないのか」という疑問を呼んでいます。式典参加国が過去最多の98か国・EUに達したことも、国際的な関心の高さを示しています。
この記事の根拠
一次ソース 2件エビデンス 2件参考資料 1件
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2026年8月9日、長崎市で「被爆81周年長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が開催。式典参加は98か国+EU(過去最多)。鈴木史朗市長が平和宣言を読み上げ「人類と核兵器は決して共存できない」と表明。被爆者は全国9万1,105人(2026年3月末)、平均年齢86.66歳。2025年度中に亡くなった被爆者は2,773人、長崎の累計死者数は20万4,708人。宣言では核抑止論を否定し、NPT義務履行とTPNW再検討会議への参加を日本政府に要求。2024年、日本被団協がノーベル平和賞受賞。世界の核弾頭は1万2,000発以上。