地面は落ち着いたのに、なぜ高層階は10分以上揺れ続けた? 2026年茨城地震と長周期地震動
この記事のポイント
- 震度5弱なのに高層マンションが10分以上揺れ続けた——2026年8月22日の茨城地震でSNS急上昇した「長周期地震動」
- 高層ビルが大きく揺れる仕組みと、今日すぐできる備えを見ていく
目次
「えっ、まだ揺れてる?」と感じた人、多かったと思います。2026年8月22日深夜の茨城県南部の地震で、高層マンションの上層階では地上の揺れが収まってからも20分近く揺れが続きました。なぜ「震度5弱」なのに高層階だけがあんなに長く揺れたのでしょうか。
- 長周期地震動は周期2〜数十秒のゆっくりした揺れで、通常の震度とは別に「階級1〜4」で表す
- 高層ビル(14〜15階以上)はこの揺れと「共振」して、地上より何倍も大きく揺れ続ける
- 今回は東京都内で長周期地震動階級2が観測され、江東区で水道管破裂・目黒区で停電が起きた
- 2023年2月から緊急地震速報に階級3以上で警報が追加された
- 家具の転倒防止グッズとエレベーター依存を減らすことが、最も手軽な備え
この「長周期地震動」の仕組みと、高層マンションで今日すぐできる対策を見ていきます。
高層階だけが長く揺れ続けた夜
2026年8月22日深夜、茨城県南部を震源とするM5クラスの地震が発生しました。最大震度5弱が茨城・埼玉・千葉・東京都23区で観測され、津波の心配はありませんでした。
でも、SNSで急上昇したのは震度の話ではありませんでした。「高層マンションで20分以上揺れ続けた」「震度5弱のはずなのに家具がずれた」という声が相次ぎ、「長周期地震動」という言葉がXのトレンドに入りました。東京・江東区では水道管が破裂し、目黒区では一時停電も発生しています。
地上の揺れはとっくに収まっているのに、なぜ高層階だけが長く揺れたのでしょうか。
その答えが「長周期地震動」という揺れの種類にあります。次で仕組みを見ていきます。
長周期地震動は「ゆっくり大きく」揺れる
地震の揺れには「速さ」があります。これを「周期」と呼びます。
通常の地震の主な揺れは、周期1秒以下の小刻みで素早い振動です。一方、長周期地震動は周期が2秒〜数十秒という、ゆっくりとした大きな揺れのことです。
ブランコで考えてみてください。短い紐のブランコは速く小刻みに揺れます。長い紐のブランコはゆっくり大きく揺れますよね。高層ビルはこの「長い紐のブランコ」と同じで、自然と「3〜5秒で1回揺れる」という固有の周期を持っています。
地震の長周期の揺れと建物の固有周期が一致すると、揺れが次第に大きくなります。これを「共振」と言います(タイミングが重なって揺れが増幅する現象のことです)。
だから、地上の震度計が5弱を示していても、高層階では10分以上揺れ続ける事態が起きます。
では、なぜ震源から100km以上離れた東京まで届いたのでしょうか。
東京まで届いた理由は「減りにくさ」にある
通常の地震の揺れは、震源から遠くなるほど弱くなります。でも長周期の揺れは「減衰しにくい」という特性があります。
短周期の揺れより遠くまで届くため、震源から数百kmの都市でも大きく感じることがあります。
今回の地震では、震源の茨城県南部から東京都心まで約70〜100kmでした。さらに東京の都市部には軟らかい地層(堆積層)が深く積み重なっており、この地盤が長周期の揺れをさらに増幅させます。
2011年の東日本大震災のときも、震源から約700km離れた大阪の高層ビルで長周期地震動が観測されました。オフィス家具が大きく動き、立っていられなくなった人が出た記録が残っています。距離だけでは安心できないことがわかる事例です。
次に、長周期地震動の「大きさ」を表す専用の指標を紹介します。
「長周期地震動階級」は震度とは別の指標
震度は地表付近の「短い周期の揺れ」を計る指標です。高層ビル内の揺れ方は、震度では十分に表せません。
気象庁は2023年2月から、緊急地震速報に「長周期地震動階級」を組み込みました。1〜4の4段階で表します。
長周期地震動階級1: 室内で揺れを感じる程度。立っていることができ、物がわずかに動く。
長周期地震動階級2: 大きな揺れを感じる。棚の物が落ちることがある。
長周期地震動階級3: 立っていることが困難。固定されていない家具が動いたり転倒したりする。
長周期地震動階級4: ほとんど立っていられない。固定された家具でも動く可能性がある。
今回の地震では東京都内で階級2が観測されました。階級3以上が予測された場合は、震度5弱以上と同様に緊急地震速報(警報)が発令されます。
では、高層マンション暮らしの人は何を準備すればよいのでしょうか。
高層マンションで今すぐできる3つの備え
長周期地震動のリスクは3つに絞れます。
① 家具が「じわじわ動いて」倒れる
普通の地震は瞬間的な衝撃を与えます。でも長周期地震動は10分以上ゆっくり揺れ続けるため、固定されていない家具が少しずつ動いて最終的に転倒します。本棚・テレビ台・食器棚には転倒防止グッズが必須です。市販の突っ張り棒や粘着マットは数百円〜数千円で揃います。
② エレベーターが止まる
長周期地震動を感知するとエレベーターは自動停止します。高層階の住民が地震後に閉じ込められるケースが多く、復旧まで数時間かかることがあります。非常時は階段での移動を前提に、非常口の場所を家族で確認しておきましょう。
③ 揺れが長いから焦って動いてしまう
10分以上揺れ続けると、「収まった?」と思って立ち上がったところで再び大きく揺れることがあります。揺れが完全に止まるまで、テーブルの下や低い姿勢でじっとしているのが安全です。
FAQ: 長周期地震動でよくある疑問
Q. 今回の地震で「長周期地震動階級2」が観測された、何が起きたの?
2026年8月22日の茨城県南部地震で、東京都内の観測点で長周期地震動階級2が記録されました。室内で大きな揺れを感じ、棚の物が落ちるなどの影響が出る段階です。高層マンション居住者が「震度5弱のはずなのに家具がずれた」と感じたのは、この階級2の揺れが理由と考えられます。
Q. 低い建物や一戸建ては関係ない?
基本的に影響は少ないです。長周期地震動が特に危険なのは14〜15階以上の高層建物です。一戸建てや低層マンションは固有周期が短く、長周期の揺れとの共振が起きにくい構造です。震源が非常に近くて揺れが大きい場合は、低層建物でも影響が出ることがあります。
Q. 首都直下地震が来たらどうなるの?
想定されるM7クラスの首都直下地震が来れば、今回をはるかに超える長周期地震動が東京全域で発生する可能性があります。国の想定では東京・横浜の超高層ビルが長時間激しく揺れ続け、エレベーター閉じ込めや内装材の落下が多発すると予測されています。
Q. 長周期地震動は昔からあった現象なの?
現象自体は昔からありましたが、特に注目されたのは2003年の十勝沖地震です。このとき北海道から700km以上離れた大阪で石油タンクが爆発炎上する事故が起きました。タンク内の液体が長周期の揺れと共振して激しく揺れた(スロッシングと呼ばれる現象)ためです。2011年の東日本大震災でも東京・大阪の高層ビルで被害が出て、対策が本格化しました。
Q. 緊急地震速報で「長周期地震動」が出たらどうする?
スマホに「強い揺れに注意」と出たら、即座に低い姿勢をとりテーブルや壁ぎわに留まることが基本です。エレベーターの使用は避け、揺れが完全に止まるまでは移動しないようにしましょう。
これらの疑問の答えが、今回の地震で起きたことへの理解につながります。
「ゆっくり揺れ」が長く怖い理由は、遠さと建物の高さにあった
今回の地震でSNSを席巻した「長周期地震動」。その正体は、周期2〜数十秒のゆっくりとした揺れです。
高層ビルとの「共振」で揺れが増幅し、地上の震度計が5弱を示していても高層階では10分以上揺れ続けます。震源から100km超の東京でも感じられたのは、長周期の揺れが短周期より遠くまで伝わる性質を持つためです。
気象庁の「長周期地震動階級」は震度とは別の指標で、2023年2月に緊急地震速報へ組み込まれました。高層マンション暮らしの人にとって、家具転倒防止グッズの設置とエレベーター依存の解消が今日すぐできる具体的な一歩です。
なぜ流行っているのか?
2026年8月22日深夜の茨城県南部の地震(最大震度5弱)を受け、XではリアルタイムでSNS上の地震報告が急増。そのなかで「長周期地震動」というワードが突出してトレンドに入った。高層マンション居住者を中心に「震度5弱なのに20分以上揺れた」「家具がずれた」という驚きの声が相次ぎ、専門用語に対する好奇心と不安が重なった結果と分析できる。2023年2月から緊急地震速報に「長周期地震動階級」が追加されたことで認知度が上がっており、今回の事象で一般層への浸透がさらに進んだ。心理的要因として、震度という既知の指標と異なる「別の基準があること」への驚きが大きく、知的好奇心を刺激するコンテンツとしてシェアされやすかった。
この記事の根拠
一次ソース 2件エビデンス 1件参考資料 2件
ファクトチェック結果を確認する
2026年8月22日深夜に茨城県南部で地震発生。気象庁の発表(Yahoo!天気・災害経由)により最大震度5弱(茨城・埼玉・千葉・東京都23区)、津波なしを確認。東京都内での長周期地震動階級2の観測、江東区での水道管破裂・目黒区での停電はInfoseekニュース経由で確認。長周期地震動の定義(周期2〜数十秒、高層建物に影響)、階級区分(1〜4)、2023年2月の緊急地震速報追加は気象庁公式資料・地震本部資料で確認。2011年東日本大震災での大阪への影響、2003年十勝沖地震での石油タンク爆発(スロッシング)は既知の記録事実。