アルゼンチン対イングランドW杯2026準決勝、なぜ審判が両国から批判されたの? 40年越し因縁の全記録

アルゼンチン対イングランドW杯2026準決勝、なぜ審判が両国から批判されたの? 40年越し因縁の全記録

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この記事のポイント

  • W杯2026準決勝アルゼンチン対イングランドで、主審エルファス氏がメッシとの勝率100%問題と英語話者優遇問題で炎上
  • 1986年「神の手」から続く40年の因縁と、審判への批判が重なった理由をひもとく

W杯2026準決勝、アルゼンチン対イングランド——両国の因縁はどこから始まったの?

  • 2026年7月15日(現地時間)、アトランタでW杯2026準決勝アルゼンチン対イングランド戦が開催された
  • 主審の米国人イスマイル・エルファス氏が「メッシとの勝率100%」などの理由で試合前から炎上した
  • 両国の因縁は1982年のフォークランド紛争に遡り、1986年マラドーナの「神の手」が象徴として語り継がれている
  • 前半終了スコアは0-0。ファウルが多発し、イエローカードが2枚出た激しい試合展開だった
  • 「アルゼンチン贔屓」「荒れた試合」などが日本のSNSでも同時トレンド入りした

「神の手」から始まった40年の積み重ね

1982年4月、イギリスとアルゼンチンの間で戦争があった。「フォークランド紛争」だ。南大西洋に浮かぶ島をめぐって、約1,000人が命を落とした。戦争はアルゼンチンの敗北で終わった。

その4年後、両国はサッカーのグラウンドで再び向き合った。

1986年メキシコW杯準々決勝。アルゼンチンのディエゴ・マラドーナが、手でボールをゴールに押し込んだ。「神の手」と呼ばれるゴールだ。審判には見えなかった。同じ試合でマラドーナは相手5人を抜き去るドリブルゴールも決めた。FIFAが「20世紀最高のゴール」に選んだプレーだ。

マラドーナは後年こう述べた。「あれは、フォークランドで負けたアルゼンチン国民への復讐だった」。サッカーの試合が、国の誇りを取り戻す場になった瞬間だった。

因縁はその後も続いた。1998年フランス大会では、アルゼンチンMFのディエゴ・シメオネが転倒した際に、イングランドのデイビッド・ベッカムが報復で蹴った。審判はレッドカードを提示した。イングランドはPK戦で敗れ、帰国したベッカムは激しいバッシングを受けた。

そのシメオネが今回、アルゼンチン代表の監督としてベンチに座っている。そして今回が24年ぶりのW杯対戦だ。

試合前から炎上した「お気に入り」審判

試合の2日前、SNSにあるデータが広まり始めた。「今回の主審エルファス氏、メッシが関わる試合で勝率100%」。

イスマイル・エルファス氏(44)はモロッコ生まれのアメリカ人審判だ。MLSでも担当試合を持っており、メッシがインテル・マイアミに加入してから裁いた試合はすべてマイアミが勝利している——という情報が広まった。

さらに燃料を注いだのが「言語問題」だ。主審とアシスタントレフェリー2人が全員アメリカ人(英語話者)だった。アルゼンチン側のファンからは「英語を話すイングランドに有利なのでは」という声が上がった。一方でイングランド側からは「アメリカのリーグでメッシと仕事してるから、アルゼンチン寄りだ」という批判も出た。

両方向から同時に批判された審判——というのは珍しい状況だ。

英国『デイリーメール』はアルゼンチン贔屓の懸念を報じ、スペインの『MARCA』は「注目度の高い試合を任される信頼の証だ」と擁護した。FIFA審判委員会も問題なしとしたが、炎上は試合直前まで続いた。

なお、イングランド人の審判がアルゼンチン戦に入れない理由もある。フォークランド紛争に関連した政治的緊張が理由で、マイケル・オリバー氏らイングランド人主審はアルゼンチン戦から系統的に除外されている。今回の「アメリカ人主審」は、ある意味での妥協策でもあった。試合当日、ピッチではその懸念を裏付けるかのように激しい展開が続いた。

前半0-0でも「ラフプレー」が話題になった理由

試合はアトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで、現地時間7月15日午後3時にキックオフした。

前半45分、スコアは動かなかった。シュート数はイングランド2本・アルゼンチン2本。ポゼッション(ボールの支配率)はアルゼンチンが57%だが、決定機には至らなかった。試合を動かしたのはむしろファウルの多さだ。球際の激しさが目立ち、前半だけでイエローカードが2枚——アルゼンチンのリサンドロ・マルティネスとイングランドのアンダーソンが警告を受けた。

「荒れた試合」「ラフプレー」がXでトレンドに入ったのは、スコアではなくこの肉弾戦の激しさが原因だ。

シメオネ監督はこういう状況を生み出すのが得意な指揮官として知られている。ピッチではパレデスやマクアリスターが激しいプレーで前半を引っ張った。イングランドGKのジョーダン・ピックフォードは前半を無失点で締め、0-0を守りきった立役者だった。

サッカーが国の感情と結びつく理由

「スポーツは政治と関係ない」とよく言われる。でも実際には、過去の出来事がグラウンドに影を落とすことがある。

心理学に「内集団バイアス」(つまり、自分のグループをひいきする心の傾向のこと)という概念がある。自国チームが絡む判定を「贔屓だ」と感じやすいのは、この心理が働くからでもある。

今回の選手たちは、フォークランド紛争を知らない世代だ。イングランドの選手たちは取材で「自分が生まれる前の話だよね」と答えている。それでも、SNSの反応はマラドーナ「神の手」から40年分の感情を乗せて動いた。スコアが0-0でも数万件の投稿が飛び交う——これが「歴史を知ってからスポーツを見る」効果だ。

この試合で気になることを全部答える

Q. シメオネって、選手じゃなくて監督なの?

そう。ディエゴ・シメオネ(56歳)は現役時代にアルゼンチン代表MFとして1998年W杯に出場した。今はアルゼンチン代表の監督として采配を振っている。スペインのアトレティコ・マドリードで13年間指揮をとり、リーガ優勝2回・CL準優勝2回の実績がある。

Q. VARってどんな仕組みなの?

VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は、複数カメラの映像をリプレイして主審の判定を補助する技術だ。ゴール判定・PK・レッドカード・オフサイドに使われる。最終決定は常に主審が下す。今大会でも複数の試合でVARによって判定が覆った。

Q. 「アルゼンチン寄り」と「英語話者有利」って同時にあり得るの?

あり得る。ファンが感じる「不公平感」は、自国チームが不利なシーンで特に強くなる。アルゼンチンファンは「英語話者だからイングランド有利」と感じ、イングランドファンは「MLSでメッシと関わっているからアルゼンチン寄りだ」と感じた。同じ人物への批判が逆方向から起きるのは、サッカーのフェア論争でよくあること。

Q. ピックフォードがよく名前に出てくるのはなぜ?

ジョーダン・ピックフォード(32)はイングランドの正GKだ。今大会でセービングを連発しており、アルゼンチン戦の前半でも0失点を守りきった。特に激しい展開でのキャッチングが評価されている。

Q. フォークランド紛争って具体的にどこの島なの?

南大西洋に浮かぶ「フォークランド諸島」(アルゼンチン名・マルビナス諸島)だ。アルゼンチンから東に約1,200km離れた場所にある。現在はイギリスの統治下にあり、アルゼンチンはこの島を自国領と主張している。1982年にアルゼンチンが武力占領を試みたが、イギリスが奪還した。

Q. 1986年の「神の手」って何が起きたの?

1986年メキシコW杯準々決勝のアルゼンチン対イングランド戦で、マラドーナが左手でボールをゴールに押し込んだゴールだ。審判に見えなかった。後にマラドーナ自身が「神と自分の手によるゴールだった」と認めた。この「神の手」と同じ試合での「5人抜きゴール」は、今も語り継がれている。

Q. イングランド人の審判はアルゼンチン戦に入れないって本当?

本当だ。フォークランド紛争の政治的緊張が理由で、マイケル・オリバー氏らイングランド人主審はアルゼンチン戦から系統的に除外されている。FIFAの方針で、今回もそれが適用されている。

歴史の重さが、0-0を「名勝負」に変える

スコアが0-0のまま後半に突入した試合——でもこの90分は、数万件の投稿が生まれ、複数のキーワードが同時にSNSトレンドに入った。

その理由は一つ。1982年の戦争から始まり、1986年の「神の手」を経て2026年の審判炎上まで続いた「物語の積み重ね」が、1本のパスや1枚のカードをドラマに変えたからだ。

歴史を知ってから試合を観るのと、知らないで観るのでは、楽しさがまったく違う。その差が、今夜この試合をSNSで一番盛り上がる場所にした。

なぜ流行っているのか?

W杯2026準決勝でアルゼンチン対イングランドが激突。歴史的ライバル対決に加え、主審エルファス氏が「メッシとの試合で勝率100%」「英語話者だからイングランド有利では」と両国ファンから同時に批判され、試合前から炎上状態になった。シメオネ・パレデス・ピックフォード・マクアリスターなど選手・監督の固有名詞がXにいっせいに並んだだけじゃなく、「ラフプレー」「荒れた試合」「アルゼンチン贔屓」という感情ワードも同時にトレンド入り。1982年のフォークランド紛争→1986年神の手→1998年ベッカム退場という40年の積み重ねがあるからこそ、0-0の膠着した前半でも数万件の投稿が飛び交った。スポーツと歴史と審判問題が重なった典型的なバイラル構造だ。

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この記事の根拠

一次ソース 2件エビデンス 1件参考資料 3件

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試合は2026年7月15日(現地時間)、アトランタのメルセデス・ベンツ・スタジアムで実施。主審エルファス氏(44)がモロッコ系アメリカ人で今大会3試合目の担当であること、カタール大会決勝では第4審判を務めたことは複数のスポーツメディアが確認している。メッシとの試合での勝率については英紙デイリーメールが報道。イングランド人審判のアルゼンチン戦除外はFIFAの公式方針として適用されている。1986年の「神の手」とマラドーナ本人の復讐発言は複数の一次資料で確認。1998年ベッカム退場もFIFA記録に残っている。前半スコア0-0、イエロー2枚(マルティネス・アンダーソン)はスポーツナビ速報より確認した。

出典・参考リンク